世界で一番わがままな君とガラスの心臓
「うーん……なんていうか、走ってるときに急に考えちゃうんだよね。私ばかりこんなに汗かいて、必死になって走って、何やってんだろうって。……明日は走れないのに、私が自分のタイムのことだけで頭いっぱいにしてるのが、なんか申し訳ないっていうか……」


気まずくなって語尾を濁した瞬間、隣の空気が凍りついた。


ガチャン、とスプーンがガラスの器に当たる高い音が響く。


「……今、なんて言ったの?」


明日の声から、さっきまでの軽やかさが完全に消えていた。


驚いて隣を見ると、前髪の下の大きな瞳が、見たこともないほど冷たく、鋭く私を射抜いていた。


「風花。あなた、私のために『手加減』して走ってるって言いたいの?」
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