世界で一番わがままな君とガラスの心臓
その背中はあまりにも小さく、今にも砕けてしまいそうなほど儚かった。


散らばった赤いいちごシロップが、夕暮れの光を受けて、まるで涙の跡みたいに鈍く光っていた。


第4節:「明日(みらい)」なんていらない

薬を飲み、横になってから三十分。
荒かった明日の呼吸がようやく静かなリズムを取り戻した頃には、庭の青もみじはすっかり濃い紫色の影に飲み込まれていた。
西伊豆の海を染めた夕陽の名残が、障子越しにほの暗い橙色の光を投げかけている。
「……ごめんね、明日。私、バカなこと言った」
布団の傍らに座り込み、私は膝の上で固く拳を握りしめていた。
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