世界で一番わがままな君とガラスの心臓
学年中の誰もが騙されている。


あの上品でおとなしく、壊れ物のように可憐な少女の「中身」が、どれほど凶暴で、どれほど口が悪いかということを。


「……風花、帰りましょう」


群がるクラスメイトたちを完璧な営業スマイルでかわし、明日が私の元へと歩み寄ってくる。


私は「はいはい」と頷き、日傘をさす明日の隣に並んで校門をくぐった。


下校途中、すれ違う他クラスの男子からも「茅野さん、気をつけて帰ってね!」と声をかけられ、明日は「ええ、ありがとう」と可憐に会釈を返す。




そして——


カチャリ、と我が家である橘家の玄関の引き戸を閉め、鍵をかけた瞬間だった。
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