世界で一番わがままな君とガラスの心臓
「『お客様』なんて堅苦しい呼び方はやめてよ、明日ちゃん。湊でいいからさ。……あと」


「な、なによ……」


毒気を抜かれた明日は、仮面がひび割れた顔でじりじりと半歩後退(あとずさ)る。


湊先輩はすっと長くて細い手を伸ばすと、明日の真っ白な顔へ指先を向けた。


「お姫様。さっき食べたかき氷のシロップ、鼻の頭についてるよ」


ぽん、と。


湊先輩の指先が、明日の小さく尖った鼻の頭を軽く突いた。


「っ……〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」


明日の顔が、一瞬で茹で上がったタコみたいに真っ赤に染まった。


「な、ななな……何するのよバカ!! 馴々しく触らないで! 伝染(うつ)ったらどうするの!?」
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