世界で一番わがままな君とガラスの心臓
可憐なお姫様の仮面は、呆気なくドロドロに崩れ去っていた。


明日は鼻の頭を袖で激しく拭いながら、金切り声を上げて湊先輩を睨みつける。


「伝染るって、何が?」

「私の『バカ』がよ!!」

「自分からバカって言っちゃってるじゃん」


くすくすと楽しそうに笑う湊先輩。


その余裕にさらに頭に血が上ったのか、明日は「キーッ!」と叫んで湊先輩の胸元を突き飛ばそうと一歩踏み出した。

けれど、感情を爆発させたせいで立ちくらみが起きたのか、明日の膝ががくっと揺れる。


「きゃっ……!?」

「っと、危ない!」


倒れそうになった明日の両肩を、湊先輩が素早く差し出された手で受け止めた。
< 56 / 63 >

この作品をシェア

pagetop