世界で一番わがままな君とガラスの心臓

対等な「お不作法」とほんのりとした赤み

「……生き、生き……?」


明日は自分の腕の中で固まったまま、おうむ返しにその言葉を呟いた。


「なにヘラヘラ言ってるのよ、このバカ! 変なこと言わないで!!」


我に返った明日は、真っ赤な顔で湊先輩の胸元をぽんと力なく突き飛ばした。


けれど、その手にはさっきまでの凶暴な力はまったく入っていない。


湊先輩は「おっと」と軽やかに身をひるがえすと、着ていたアウターの裾を整え、事もなげに笑った。


「変なことじゃないよ。俺、嘘は言わないし」


そう言うと、湊先輩は茅野家の敷居をまたぎ、なんと勝手に縁側の木枠へと腰を下ろしてしまった。


長い脚を投げ出し、首から下げた一眼レフカメラを膝の上に置く。潮風が彼の無造作な黒髪をふわりと揺らした。


「ちょっ……!? なになに、なんで勝手に座ってんのよ! なんてお不作法なの!?」
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