ノンデリ男の敗北  ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~

第38話「二人で住むんでしょ。」

十二月に入ると、スーパーの入口に小さなクリスマスツリーが置かれた。

その横を、凛と二人で買い物かごを持って通り過ぎた。
日曜日の午後。俺の部屋で夕飯を作るために、食材を買いに来ていた。

「鍋でよくない? あったまるし。」

「いいね。冷蔵庫に白菜、残ってたよ。」

「あれ、まだ使える?」

「昨日買ったって言ってなかった?」

そうだった。
凛に笑われながら、俺はかごに豆腐を入れた。

こういう休日が、少しずつ増えていた。
どこかへ出かける日もあれば、昼過ぎに会って、買い物をして帰るだけの日もあった。

野菜売り場を回っていると、凛が長ねぎを一本手に取った。

「もし一緒に住むなら、スーパーが近いところがいいな。」

俺は、隣を見た。

「……一緒に住む家の話?」

「うん。夏樹くん、この前言ってたでしょ。」

言った。
今すぐじゃなくていいから、考えてほしいと。

でも、凛のほうからそんなふうに話し始めるとは思っていなかった。

「近いほうが、仕事帰りに寄りやすいし。」

「うん。」

「あと、駅から家までの道が明るいところ。」

「うん。」

凛が俺を見上げた。

「聞いてる?」

「めちゃくちゃ聞いてる。今、ちょっと嬉しくて。」

「……まだ、希望を言っただけだよ。」

「その希望が聞きたかったんだって。」

凛は目を伏せて、長ねぎをかごに入れた。
その耳が、少し赤くなっていた。

◇
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