ノンデリ男の敗北  ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~

改札から出てきた凛は、俺の手元を見て足を緩めた。

「花?」

「うん。今日は、凛に渡したくて。」

差し出すと、凛は両手で受け取った。
白い花に顔を近づけ、少し笑った。

「ありがとう。……何かの日だった?」

「四月だなと思って。」

「それは、そうだけど。」

もっともな返事に、俺も笑った。

「俺ら、初めて会ったの四月だったじゃん。」

凛が顔を上げた。

「もう三年になるんだね。」

「な。今日は、大学のほう歩いてみない?」

「うん。久しぶりに行きたい。」

空いた手をつなぎ、改札に背を向けた。

大学へ続く道には、新しい店ができていた。
よく寄ったコンビニはそのままで、凛が好きだったパンを窓越しに探した。

「あれ、まだ売ってる。」

「帰りに買う?」

「うん。明日の朝の分。」

そんな話をしながら、ゆっくり歩いた。

花束の包みが、凛の腕の中で小さく鳴った。
そのたびに、言おうとしていた言葉が頭の中を回った。

◇
< 82 / 99 >

この作品をシェア

pagetop