ノンデリ男の敗北 ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~
改札から出てきた凛は、俺の手元を見て足を緩めた。
「花?」
「うん。今日は、凛に渡したくて。」
差し出すと、凛は両手で受け取った。
白い花に顔を近づけ、少し笑った。
「ありがとう。……何かの日だった?」
「四月だなと思って。」
「それは、そうだけど。」
もっともな返事に、俺も笑った。
「俺ら、初めて会ったの四月だったじゃん。」
凛が顔を上げた。
「もう三年になるんだね。」
「な。今日は、大学のほう歩いてみない?」
「うん。久しぶりに行きたい。」
空いた手をつなぎ、改札に背を向けた。
大学へ続く道には、新しい店ができていた。
よく寄ったコンビニはそのままで、凛が好きだったパンを窓越しに探した。
「あれ、まだ売ってる。」
「帰りに買う?」
「うん。明日の朝の分。」
そんな話をしながら、ゆっくり歩いた。
花束の包みが、凛の腕の中で小さく鳴った。
そのたびに、言おうとしていた言葉が頭の中を回った。
◇