ノンデリ男の敗北 ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~
しばらくして、凛が花束を少し持ち上げた。
「だから、今日お花くれたんだね。」
「うん。……あと、指輪なんだけど。」
凛が俺を見た。
「一緒に選びに行きたい。凛が好きなの、贈りたいから。」
「うん。選びたい。」
凛の指には、大学生の頃に買ったペアリングがあった。
重なった手の中で、それが俺の指に触れた。
「親にも、二人で話しに行こうな。」
「うん。いつ行けるか聞いてみる。」
「俺も聞く。」
住む家も、結婚する日も、これから決めることがたくさんあった。
凛の口から次の約束が出てくるたび、少しずつ実感が湧いた。
ベンチを立つ前に、凛が花束を見下ろした。
「この花、帰ったらちゃんと飾るね。」
「うん。」
「見るたびに、今日のこと思い出せそう。」
そんなことを言うから、また顔を見られなくなった。
「……凛。」
「何?」
「もうちょっとだけ、このまま座っててもいい?」
凛は俺の手を握り直した。
「私も、そう言おうと思ってた。」
肩に、そっと重みが寄った。
俺はつないだ手を二人の間に置き、もう少しだけ、凛の隣で春の風に当たっていた。