ノンデリ男の敗北  ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~

第42話「これからは、二人で家まで歩ける。」

七月の終わり、俺たちは一緒に暮らし始めた。

何度か足を運んで決めた部屋には、まだ段ボールが残っていた。
それでも玄関には二人分の靴が並び、洗面台には歯ブラシが二本立っていた。

引っ越した翌朝。
食器を棚へしまっていると、隣から凛に袖を引かれた。

「夏樹くん、そのお皿は下がいい。」

「こっちのほうが入るよ?」

「入るけど、私が届かない。」

「あ。」

手を止めて、持っていた皿を一段下へ移した。

「これなら?」

「うん。毎日使うものは、そこがいいな。」

一人で住んでいた頃は、空いている場所に入れればよかった。
今は、凛にも使いやすい場所を、一緒に探していた。

◇
< 89 / 99 >

この作品をシェア

pagetop