ノンデリ男の敗北 ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~
その日の昼は、オムライスにした。
凛が炒めたチキンライスを二枚の皿に分け、俺はボウルに卵を割った。
「卵、俺がやっていい?」
「うん。お願い。」
フライパンにバターを落とすと、甘い匂いが広がった。
溶いた卵を流し込み、端が固まり始めたところで火を弱めた。
凛が、隣から手元をのぞいた。
「前にも、二人で作ったね。」
「俺の部屋で、映画見た日?」
「うん。」
一緒に住みたいと、初めて口にした日だった。
あのときは、今すぐじゃなくていいからと、慌てて付け足した。
一枚目の卵をライスにかぶせ、もう一度フライパンを火に戻した。
「ほんとに一緒に住んでるんだな。」
「今、実感したの?」
「卵、二人分焼いてたら。」
凛は笑って、引き出しからスプーンを二本取り出した。
二枚目は、端が少し破れた。
「あー。こっち俺の。」
「ケチャップかけたら、わからないよ。」
「じゃあ、うまく隠して。」
渡したボトルを受け取って、凛は破れたところに線を引いた。
俺ももう一皿にかけて、二人でテーブルへ運んだ。
食べ終わっても、凛は鞄を持たなかった。
「午後は、本を片づけたいな。」
「俺も手伝う。」
その先の時間まで一緒なのが、まだ少し不思議だった。
◇