ノンデリ男の敗北 ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~
夕方、四人を駅まで見送った。
改札の向こうで美奈が手を振り、田中がその隣で軽く片手を上げた。
小川と詩織の姿も見えなくなってから、俺たちは来た道を戻った。
風が少し涼しくなっていた。
「楽しかったね。」
「うん。また来てもらおうな。」
差し出す前に、凛の手が俺の手に触れた。
そのまま指を絡めて歩いた。
前なら、ここから凛を送っていた。
これからは、二人で家まで歩ける。
玄関を開けると、昼間の賑やかさが残っているようだった。
流しには皿が重なり、食卓には花瓶と、詩織たちが持ってきてくれた焼き菓子の箱があった。
「お茶、飲む?」
凛が靴を脱ぎながら聞いた。
「飲む。洗い物してからにしよ。」
並んで流しに立った。
凛が洗った皿を、俺が拭いた。
棚へ戻そうとして、一度手を止めた。
毎日使う皿は、下の段だった。
隣を見ると、凛が気づいて笑った。
「覚えたね。」
「毎日使ってるから。」

最後の一枚をしまい、マグカップを二つ出した。
凛はもう、時計を見て帰り支度をしなくてよかった。
俺は湯を沸かしながら、焼き菓子の箱を開ける凛に、どれを食べたいか聞いた。