ノンデリ男の敗北  ~モテる俺が法学部女子に告白したら「私は好きではありません」と普通に振られた~

第43話「一緒に選べてよかった。」

一緒に暮らし始めてから、初めての秋と冬が過ぎた。

寒くなると、夕飯には鍋が増えた。
帰りが遅い日は、先に帰ったほうが湯を沸かして待っていた。

毎日使う皿をしまう場所も、凛が暖房をつけたくなる寒さも、少しずつ覚えた。
「ただいま。」と声をかけて、返事がある暮らしに慣れても、嬉しいのは変わらなかった。

その間に式場が決まり、予定表に入れていた『結婚式・希望』から、『希望』の二文字が消えた。

玄関に掛けていた冬物のコートをしまう頃、俺たちは社会人三年目に入った。

四月の朝。
靴を履いていると、凛が隣にしゃがんだ。
手には、去年から使っている仕事用の鞄があった。

「今日、少し遅くなるかも。」

「俺のほうが早かったら、飯やっとく。」

「うん。帰る前に連絡するね。」

一緒に家を出て、駅へ向かった。
今夜食べたいものを一つずつ言ってから、それぞれの電車に乗った。

九月の結婚式まで、あと五か月だった。

◇
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