攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「貴様……!」

 ガザンが侵入していることを知らぬフェドクスが室内に姿を見せ、地を這うような怒声を聞いた瞬間、大きく瞳を見開いた。

 幼馴染は私の着ている服が変わっていることに気づき、どうやら大人の関係に進展してしまったのではないかと勘違いしたようだ。
 憤慨を隠しきれぬ様子で、ガザンを睨みつけた。

「俺のエミリエに、手を出したのか!?」
「聖女の寝込みを襲うほど、クズじゃねぇよ」
「貴様の主張を、信じられるとでも……!?」
「フェドクス。やめて」
「だが……!」

 私の静止を受けた以上、彼に襲いかかってはいけないと言う考えられる理性くらいは、残っているようだ。

 ――ちゃんと、伝えなきゃ。

 私は幼馴染を安心させるため、これまでの経緯を淡々と説明した。

「左腕が不自由になった私を哀れに思って、着替えを手伝ってくれただけなの」
「……っ!」
「心配ないよ。彼は私たちの秘密を、言い触らしたりしない」

 神殿が無能聖女に無体を働いたと言う事実は、何がなんでも秘匿せねばならない公然の秘密だ。
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