攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「やっと、見つけました!」

 ――フェドクスが1人で魔物を倒してから、数日後。
 次の街に辿り着いた私たちが宿屋でチェックインを済ませたところ、フェドクスのマントを背中から掴む女性が現れた。

「は……っ!」
「あなたがたった1人で、600体もの魔物を討伐した凄腕剣士に間違いございませんね!?」

 幼馴染が「離せ」と言い終わる前に手を引っ叩いて距離を取った瞬間、彼女の口から想像もしていなかった発言が飛び出し、ガザンが絶句する。
 私はどうにもその凄さにピンとこず、殿下に解説を求めた。

「おいおい。600って……嘘だろ……」
「そんなに、すごいのですか?」
「僕たち魔法使いは、広範囲魔法が使えるからね。大したことじゃないけど……。生身の人間……。それも、前衛の騎士がたった1人でそれだけの魔物を仕留めるなんて、正気じゃないよ」
「最低でも、1分間に、1体は倒してる計算だもんな。まさか、身内にバケモンがいるとは思わなかったぜ」

 ガザンの補足説明を受け、ようやく納得できた。
 10時間以上、飲まず食わずに休憩すら取らず、たった1人で剣を振るってその数を倒すのは尋常ではない。
 辺境伯は呆れたように、本来の実力を隠していた幼馴染を責めた。
< 137 / 207 >

この作品をシェア

pagetop