攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 幼馴染はこちらの腹部に回した両腕の力を強め、重苦しい口をゆっくりと開いた。

「俺は、ハルル村の出身だ」
「それって、ハルル村の悲劇が起きた場所だよね?」
「ああ。エミリエは、魔王復活のために神殿からあの村へ連れて来られた、生贄だった」

 ――フェドクスがみんなに打ち明ける内容を聞き、彼の表情が普段と異なっていた理由をようやく悟る。

 私たちの過去は、一般的には知られたくないものなのだ。

 ハルル村と神殿での暮らしは自分にとって、どこか他人事のように思える時間だった。

 だから、こうやって幼馴染の口から当時起きた出来事を語られるのは、なんだか不思議で仕方なかった。

「生贄と村人全員の命を天秤にかけた結果、後者を捧げて魔王が復活した」
「つまり……。あの化物がエミリエを狙う理由は、元々魔王に捧げられる生贄だったからってことか?」
「ああ」

 護衛騎士の肯定を受け、どうやら私が異形の化け物に狙われる理由に納得できたようだ。
 ルドルフは口元に手を当て、警鐘を鳴らす。
< 176 / 227 >

この作品をシェア

pagetop