攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「悪しき力に汚染されし村に、まさか生き残りがいるとは思いませんでしたなぁ」

 幼子2人が生きるには、大人の力を借りなければならない。
 たとえ目の前にいる男が下衆な笑みを浮かべていたとしても、俺はそいつに頼るしかなかった。

 それが、エミリエの肉体に一生消えない傷を刻み込む羽目になるなど、知りもせず――。

「ようこそ、神殿へ。我々は見習い聖女と聖騎士を、歓迎いたしますぞ!」

 こうして俺は、悪魔の手を取った。
 その結果――。

「エミ、リエ……?」

 明かりさえ灯らぬ、暗い室内。
 外ではゴロゴロと雷鳴が轟き、ピカリと稲妻が走る。
 その一瞬の隙に見えたのは、血を流して床に倒れ伏すエミリエの姿だった――。

「エミリエ!」

 どうして、司祭に呼ばれただけの彼女が、こんなところで横たわっているんだ?

『行ってくるね』

 ひらひらと手を振って、笑顔で別れたじゃないか。
 俺はこんな姿が見たくて、手を離したんじゃない……!
< 181 / 231 >

この作品をシェア

pagetop