攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「う……」
「エミリエ!」
「ぁ……。ご、ごめんなさい! ごめんなさい! いい子にしますから! もう、口答えはしません! だから、叩かないで! 痛いこと、しないでください……!」

 両親が死んだ時ですらも泣かなかった彼女が、瞳から涙を流して怯えている。
 尋常ではない様子を見せて怯える彼女を抱きしめながら、俺はあの男に向かって怒りを露わにした。

「司祭……!」
「彼女にはまだ、悪魔が取り憑いているのです。それを祓うためには、限界まで肉体を痛めつけなければなりません」
「これ以上、エミリエを傷つけるな……!」
「よろしいのですか? このままでは、彼女は一生、この神殿で最下層の扱いを受けることになりますよ」
「く……っ!」

 彼女は本来ならば、こんなふうに虐げられるような人間ではない。
 しかし、ティルタラーテ王国の第二王女だと言うことは、俺しか知らない。
 この秘密が露呈すれば、エミリエはもっと酷い目に遭うかもしれないのだ。
 ここは怒りをぐっと堪え、口を噤むしかない。
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