攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 だからこそ――。

「フェド、クス……?」

 破壊衝動と戦っていると、エミリエが目を覚ました。
 彼女はこちらが気の毒になるほど傷ついているのに、懺悔を口にする自分を気にする素振りもなく、優しく口元を綻ばせた。

「すまない……! 俺は君を、守れなかった……!」
「うんん。いいの。来てくれて、ありがとう……」

 俺が彼女を守れるほどに強ければ、こんな酷い目には遭わなかったのに――。

「フェドクスがいてくれて、本当に、よかった……」

 エミリエはほっとした様子で、意識を手放した。

 俺はすっかりとやせ細った彼女の身体を抱き上げ、医務室へ向かう。
 その道すがら、己の力不足を恥じた。

 ――力がほしい。
 もっと、あの子を守れるだけの力が。
 そうすれば、どんな強大な敵だって――退けられるはずだから。

 そうして俺は、長い月日をかけて神殿で聖騎士団長候補まで上り詰め――。
 彼女が見える範囲で、他者から体罰を受けることはなくなった。
< 184 / 231 >

この作品をシェア

pagetop