攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 なら、窃盗の力を手に入れたのは、魔王に見初められたからなのだろうか……?

『誰だ!? 私の花嫁に、おぞましい力を埋め込んだ輩は……!?』

 こちらが不思議に思っていると、先ほどまで分身を使って、ハルル村にいる本体の元へ私を連れ去ろうとしていた魔王が、姿を見せた。

「魔王……!」
「あれが、僕達の倒す敵……」
「へぇ。案外、普通じゃねぇの」

 突如現れた強敵を前にしても、三英雄達はこちらが想像していたよりも大分落ち着いている。
 それがなぜなのかは、よくわからないが――。

 全員が欠損を抱える状態より、精神状態が安定しているからということにしておこうと思う。

 魔王が私の目の前に現れたのは、好都合だ。
 このまま本体に触れれば、苦労せずに力を奪える――!

 問題は、どうやって魔王に触れるかだけだ。

 ――こちらがああでもないこうでもないと、思考錯誤を繰り返していた時だった。

「絶対に、殺す……!」

 自分たち以外のハルル村の住人たちが命を落とした原因を前にして、じっとしてなどいられなかったのだろう。

 フェドクスは正気を完全に失い、修羅と化していた。
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