攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 ――ルドルフとガザンも、さすがに尋常ではないフェドクスの取り乱し方を目にしたら、会話に割って入るのは危険だと悟ったのだろう。

 彼らは魔王の魔石を回収し、関係各所への連絡をテキパキと済ませる。
 殿下が恐る恐るこちらへ声をかけてきたのは、約15分後だった。

「フェドクスは確かに、少し大袈裟かもしれないけど……。ちゃんと、医者に診て貰わないと……」
「いえ。問題ありません」
「何言ってんだ? 強がったって、仕方ねぇだろ」

 フェドクスが抱きしめる力を強めるだけで、「私に話しかけるな」と威嚇してこないのをいいことに、ガザンも援護射撃を行う。

 どんなに説得をされても、医療従事者からの診察を受けるつもりはなかった。

「お医者さんって、嫌いなんです」
「好きな奴なんざ、いねぇだろ」

 ――彼らは、信用できないからだ。
 これまで何度か医者に見てもらったが、身体に傷があると気づいて神殿にそれを報告した人たちは、みんな息絶えてしまった。
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