攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「あの……。殿下。少し、よろしいでしょうか……?」
「エミリエ……! 1人で、ここまで来たの?」
「はい。壁伝いなら、なんとかなるので……」
「危ないじゃないか……!」

 フェドクスほどではないとは言え、残りの2人も随分と過保護になったものだ。
 たった30歩の距離でも、誰かに支えてもらうべきだと主張するのだから。
 殿下はすぐさま椅子から立ち上がり、私を迎えに来てくれた。

 ――王族を杖代わりに扱うなんて、あまりにも贅沢すぎる……。

 平民として生きている以上、身内以外の人間に見られたら、大問題に発展しそうだ。

 私は彼の力を借りて、そそくさと椅子に座り、対面の席に腰を下ろした殿下へ疑問を投げかけた。

「私の左目、何か感じます?」
「どうして、そう思うんだい?」

 てっきり肯定の言葉が返ってくるとばかり思っていたのだが、逆に質問をされてしまって驚いてしまう。

 ここで言葉を濁したら、よくないよね……。

 私は素直に、理由を告げた。
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