攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 だけど、私が生きている限りは「エミリエが死ぬ」と言う前提で綴られる物語と統合性が取れない。
 彼らの人生が、これからどんなふうに進んでいくかは未知数だ。

 全員が幸せになれる道を進めればいいけれど、それはきっと難しいだろう。
 夫婦になれるのは、一組だけなのだから。

 死亡フラグを回避した以上、当面の目標は、ヒロインの攻略ルートを確定されることになるのかな……。

 私が心の中で「頑張ろう」と決心した直後、目の前に手を差し伸べられた。
 どうやら、隣の部屋まで送ってくれるらしい。

「殿下のお手を、煩わせるわけには……」
「遠慮しないで。僕もこうやって、君を支えてみたかったんだ」

 彼は固辞する私の手を強引に掴むと、椅子から立ち上がらせてくれる。

「こうして合法的に、君と触れ合える。それはとても、喜ばしいことだ」

 この状態で、殿下を突き飛ばすほうがよほど失礼に当たるだろう。

 ――こんな些細なことで喜んでくれるのなら、いっか……。

 こうして私は、彼の手をしっかりと握りしめ、雑談をしながら歩き出した。
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