攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「オレがあんたの兄ちゃんになってやっても、いいぜ?」
「率先して立候補するなんて、珍しい
 ね。兄のように慕ってもらったら、真っ先に恋愛対象からは外れてしまうのに」
「微妙な距離感で二進も三進もいかねぇ今よりは、ずっといいだろ?」

 普段であれば私に独占欲を滲ませるフェドクスが、なんの反応も示さないなんて珍しい。

 一体、どうしたんだろう?
 不思議に思いながら、彼を見上げる。

 フェドクスはぐっと唇を噛み締め、何かを堪えているようだ。
 恐らく、その表情を見られたくないから、じっと黙っていたのだろう。

「フェドクス。大丈夫……?」

 こちらが声をかければ、ビクリと一瞬怯えた表情を見せたあと、抱きしめる力を強めた。

 ――ぎゅうぎゅうと抱きしめられる息苦しささえ我慢すれば、幼馴染のつらくて悲しい気持ちがどこかへ飛んでいくのなら、安いものだ。

 持ち前の自己犠牲精神を遺憾なく発揮したところ、その様子を目にした2人の声が聞こえてきた。
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