攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「僕たちが望むのは、君が怯えずに暮らさなくても済む未来だ。お願いだから、自分の命を粗末に扱わないで」
「私はみなさんに迷惑をかけてまで、生きたいとは思いません……」
「神殿の奴らに罵倒されても反撃せず、命を狙われても無抵抗で死なれるほうが、よっぽど迷惑だよ」

 窃盗の力に目覚めたおかげで、私には身を守る術を手に入れた。
 他者を加害する力はないが、理不尽な暴力に怯える必要はなくなった。
 これからは、彼らに迷惑をかけずに済む。

 そう、思っていたのに――。

 ルドルフは、私が自分の力だけで独り立ちしようと目論むのを、許してはくれなかった。

「殿下……」
「僕たちじゃ、頼りにならないかい?」
「いいえ……!」
「よかった。信じられるのはフェドクスだけだと言われたら、どうしようかと思ったよ」

 殿下は人当たりのいい笑みを浮かべたあと、こちらへ手を差し伸べてくる。

「戦おう。一緒に。君を馬鹿にしてきた奴らを、見返すために」

 私は恐る恐るその手を取り、小さく頷いた。
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