攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「今に、見てなさい……! 神殿に戻ってきたら、今まで以上にビシバシと指導してやるんだから……!」

 彼はこちらに向かって呪詛を吐き出すマリラを伴い、去っていく。

 ――やっぱり、あそこは危険だ。
 できれば、戻りたくないな。

 そんな私の気持ちを読み取った幼馴染は、思いがけない言葉を口にした。

「エミリエが望むのなら、俺はどこへでも行ける」
「フェドクス……」

 このままバルコニーから2人で身を乗り出せば、行方を眩ませるのは簡単だ。

 ただし、フェドクスには多大な迷惑をかけることになるだろう。

 それに――。
 幼馴染がヒロインと出会う機会が失われてしまう。
 それだけは、絶対に駄目だ。

 どうにかして、逃げる以外に神殿へ帰らずに済む方法を見つけなくてはならない。

「あのね。私は……」
「何、オレたちのいないところで、めちゃくちゃいいムードになってんだよ?」
「ガザン……」
「逃がすわけ、ねぇだろ」

 2人に別れを告げぬまま、ここから抜け出すのは止めよう。
 そう提案しかけた時、フェドクスの肩を掴むものが現れた。
 それは、目が笑っていないガザンだった。
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