攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 あの2人をそんなふうに称する人が、自分以外に存在するとは思っていなかったからだ。

「やっぱり、我が国の貴族は腐敗が進んでいるみたいだ。魔王を倒したエミリエよりも、女狐のほうを正式な聖女だと思っている……」

 だが、こうして彼女に嫌悪感を表す姿を見られて、ほっとした自分がいるのも確かだった。

 私は本来であれば、死んでいる。
 マリラさんは、この世界に存在しない。

 同じ異物であるにも関わらず、彼女の称号に惑わされずに、こちらの味方をしてくれた。

「自らの名誉よりも、他者を思いやれる。心優しい聖女は、君以外には存在しないのに……」

 私は、なんて幸福なのだろう?

 そう思うと同時に、いつだって彼女のように攻略対象たちから非難の目を向けられる可能性があると考えたら、幸せを享受してばかりもいられなかった。

「エミリエがどれほど素晴らしい女性であるかは、僕たちだけが知っていればいいと思っていたけど……。人々から誤解され続ける限り、君は心ない言葉をみんなからぶつけられてしまうんだよね」
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