攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「そうですか……。寂しく、なりますね」
「そんなに、悲しい顔をしないで。どんなに長くても、離れる期間は3か月くらいじゃないかな」

 長いような、短いような……。
 そんな微妙な時間は、ヒロインの座を欲する悪しき聖女を叩きのめすまでの作戦を練るのに、もってこいだ。

「ガザンのいない間、僕たちが君を代わる代わる慈しむよ。うんざりするくらい、大切に……愛を、注ぎ込んであげる」

 ――主人公は必ず、私が守ってみせる。

 そんな使命感に燃えていた私は、突如殿下から色っぽい声とともに口説かれていることに気づき、間抜け面を晒してしまった。

「ふふ。何を言っているのかさっぱり理解できない顔も、かわいいね」
「私をからかっても、面白くないですよ……?」
「それは君が、そう思いたいだけだよ」
「殿下……」
「僕は、楽しいよ。とっても、ね」

 自分より身分が上の人間が口にした感情を否定する権利など、今の自分には存在しない。

「さぁ。夜会終わりの、ラストダンスが始まる時間だ」

 私はその場にしゃがみ、こちらに向かって手を差し出す殿下の姿をじっと見つめるしかなかった。
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