攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「聖女様。僕と一緒に、踊ってくださいますか?」

 ダンスなんて、幼い頃に何度か習った程度だ。
 少なく見積もっても、10年以上のブランクがある。

 それに――。
 私はリジェンタス王国と敵対する国の、第二王女なのだ。
 ティルタラーテで暮らしていた頃は使用人の前にすらも姿を現せなかったほど、存在を秘匿されて育てられてきた。
 顔を知っているものはこの国にはいないはずだが、万が一のこともある。

 ファーストダンスを殿下となんて、冗談じゃなかった。

「それは、難しいと思います。私は、左手足が不自由ですし……」
「問題ないよ。僕が、全力でサポートするから」
「ですが……っ」
「さぁ、行こう」

 ルドルフはこちらが難色を示す姿など気にする様子もなく、バルコニーからダンスホールの中央ヘと誘った。

 ふらりと姿を消したはずの第二王子が、突如左半分が不自由な聖女をパートナーとして連れてきたのだ。
 嫌でも、この場に残っていた人々の視線がこちらへ集中する。
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