攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「見て。みんながエミリエに、見惚れているよ」

 ルドルフは踊り慣れているからか、こちらをリードをしながら周りの反応を気配る余裕があるらしい。
 だが、こちらはステップを正しく踏むのに必死だ。

 ――足を踏んだら、笑われる。
 それだけは、絶対に避けなくちゃ……!

「救済の聖女様は、身体が不自由なはずなのに……」
「なんて、軽やかなステップ……」
「辺境伯は、ダンスがお好きだから……」
「ああ。辺境伯は、第二王子のご友人ですもの。きっと、ダンスのコツを習われたのね……」

 漏れ聞こえてくる声を聞く限り、貴族たちはダンスが得意なガザンに習ったと、勝手に勘違いしてくれたようだ。

 彼が女好きとして有名でなければ、「どこで学んだのか」と痛い腹を探られていた。
 そうならずに済んで、ほっと済んだのは間違いない。

 しかし――。

「ガザンとフェドクスは、この状況が気に食わないみたいだけど……」

 ルドルフの思いつきで、仲間たちになんの相談もせずにダンスを始めたからか。新たな問題が浮上していた。
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