攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 どうにか幼馴染に黙って宿屋を抜け出したことを知られず、翌朝を迎えることができた。
 外出の準備を済ませた私の元にやってきたフェドクスは、「納得できない」と言わんばかりに重苦しい口を開く。

「本当に、旅を続けるつもりか」

 私はその言葉を受け、力強く頷いた。

 こんなところで「旅を終える」選択をして置いてけぼりになったら、神殿へ強制送還されてしまうからだ。

 そこで待ち受ける未来は、凄惨の一言に尽きる。

 ――旅を始める前のように暴力を振るわれ、精神的苦痛を強いられる生活をなんて、もううんざり。

 寄って集って肉体的に傷つけられるくらいなら、攻略対象たちから心ない言葉ぶつけられて精神的なダメージを追うほうがよほどマシだ。

「決意は、固いんだな」
「うん」

 今度はしっかりと、声に出して返事をする。
 幼馴染は「これ以上何を言っても無駄だ」と考えたようで、私に無言で手を差し伸べてきた。

「ありがとう」

 こうして私は、何事もなかったかのようにルドルフとガザンの前に姿を見せた。
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