攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 彼と付き合いの長い私はそれが心配から来る視線だとすぐにわかったが、他の人達からしてみれば「正気か」と問いかけているようにしか見えなかったのだろう。
 一触触発の雰囲気を感じ取った殿下が、怒りを鎮めたのが印象深かった。

「もしも危機的状況に陥った際は、できる限り左目以外の場所を傷つけてくださると助かります。一度私が失った部位は、他者の傷を肩代わりできませんから……」
「馬鹿は使いようってことかよ。こりゃ、いいことを聞いたぜ」

 己の有能さを知らしめるために窃盗能力を使う条件を少しだけ開示したところ、これまで私を敵視していた辺境伯の態度が軟化する。
 満面の笑みを浮かべた彼の姿を目にしたルドルフは慌てて親友を叱咤するが、ガザンは発言を止めなかった。

「ガザン!」
「どんなに大怪我したって、1回だけならこいつに傷を肩代わりしてもらえるんだろ? 無能呼ばわりされていたくせに、聖女様もやりゃあできるじゃねぇか」
「彼女に向かって、なんてことを言うんだ……!」
「こいつを犠牲にして、さっさと魔王を倒そうぜ」

 こういう時、普段のルドルフならばガザンの意見に同意して、心ない言葉をぶつけてくるのが通例だったのに……。
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