攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「ごめんね、エミリエ。左目を失った君を、こんなに早く戦場へ出したくなかったんだけど……」

 申し訳なさそうに語る彼の言葉を話半分に聞き流す。
 心の底から殿下を信じきれないため、繋いだ指先に力を込めることはしなかった。

 彼は「仕方ない」と言わんばかりに瞳を切なげに細め、魔物の討伐を終えたガザンへ視線を移す。

 辺境伯はやはり、例の一件でルドルフが態度を軟化させたのが受け入れられないようだ。
 こちらを鋭い眼光で睨みつけているのが、印象的だった。

 ――仕方ない、よね。

 殿下と辺境伯は、幼い頃から交友を深め合う親友同士だ。
 そんな彼がある日突然、自分と一緒に目の敵にしていた少女に対し、態度を180度変化させてしまったのだから。

「なんだかなぁ……。あいつら、急に仲良くなりすぎだろ。そのうち、ルドルフがあの女と同室になるかもな」

 大事にしているおもちゃを奪われたようで、あまりいい気分にはなれないのだろう。
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