攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 フェドクスは私のお願いを聞いて、不仲なフリをしてくれている。
 そのおかげで、露骨に嫌そうな顔をし始めたのは私の話題を出されたからだと感知違いして、ガザンは疎外感を抱かずに済んでいた。

 でも――。

 幼馴染は、殿下が私と指先を触れ合わせたことに強い怒りを感じているのだ。

 今はまだ、うまく隠せているけど……。
 もしも、自分だけが私を敵対視していたのだと知ってしまったら――。
 彼は一体、どうなってしまうのだろう?

 いつか訪れるかもしれない未来の可能性に思いを馳せたら、とてもじゃないがこちらを思い遣るルドルフの気持ちに応える気にはなれなかった。

「さぁ、行こう」

 殿下は満足げな笑みを浮かべたあと、魔物の死体には目もくれず、私と手を繋いだまま先を急いだ。

*

 ――野宿もすっかり、慣れたものだ。
 パチパチと音を立てて燃え上がる焚き火の前に座り込み、幼馴染と肩を寄せ合ってうとうとと微睡む。

 こんなところをガザンに見られたら、「何、いちゃついてんだよ。平民はこれだから……」とまるで汚物を見るような目を向けられてしまうだろう。
< 55 / 175 >

この作品をシェア

pagetop