攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 しかし、彼はテントを張ったらよほどのことがない限りは外へ出てこない。
 そう言われる心配は、恐らくなかった。

 ――どれほど険悪な雰囲気になったとしても――。
 ガザンが心の底から気を許せる相手は、殿下だけ。

 きっと私たちのように、積もる話があるのだろう。
 だから、こうして自分たちもリラックスした状態でぴとりと互いの体温を確かめ合える。

 ――幼馴染と2人きりでいる時だけは、命の危機に怯えなくて済むから楽だ。

 彼が不在の日々を考えるだけでも、憂鬱になるくらい――。
 フェドクスは、私の人生には欠かせない人だった。

 この生活は、長くは続かない。
 魔王を倒したら、私だけの護衛騎士ではなくなってしまう。
 だから、それまでは――。
 思う存分堪能しても、いいよね?

 枕にするにはちょっと硬い肩に頭を乗せ、寝苦しくて身動ぎをする。
 フェドクスはそんな私を安心させるように、手櫛で髪を梳いた。

 束の間の休息を堪能していると、どこからともなく足音が聞こえてきた。
 私もパチリと瞳を開き、幼馴染とほぼ同時にそちらへ視線を移す。
 すると、そこにいたのは――。
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