攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「気味が悪い……」

 フェドクスが汚物を見るような目でこちらを見つめてくる気持ちも、理解できる。
 彼にとっていわば、僕たちは恋のライバルだ。
 これまで大切に箱の中にしまっておいた最愛の少女を傷つけた男に取られてしまうと焦る気持ちは、よくわかる。

「君は、理性的な獣なんだね」

 ――僕が彼の立場だったら、間違いなく寸止めなんかでは済ませない。
 このまま首をふっ飛ばしていただろう。

「そう見えるなら、貴様の目は節穴だ」
「あはは……っ! 君、面白いことを言うね! なんだか、落ち込んでる自分が馬鹿みたいに思えてきたよ」

 エミリエがフェドクスを寄越してきたのは、無口な彼ならば僕の弱音を黙って受け止めてくれるはずだと確信していたからだ。

 しかし、彼は聖女が思っているほど他者に優しくない。
 ここで彼女の望み通りに胸の奥底に留めている言葉にはしづらい気持ちを伝えようものなら、それを話のネタに脅されるに違いない。
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