攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「男性を虜にするあなたの美貌が、羨ましくて……。もっと、近くで見てみたくなったのです」
「まぁ! このわたくしを褒めるなんて! 小娘にしては、悪くありませんわね? わたくしの、弟子にして差し上げてもよくってよ?」
「ありがたき、幸せに存じます」

 私はサキュバスに差し出された手を取り、恭しく頭を垂れる。
 こちらの危機を悟ったガザンは、幼馴染に怒声を浴びせた。

「フェドクス! さっさと、あのバケモンを倒せ!」

 その瞬間、パチンと耳元で破裂音が聞こえてくる。
 目の前にひらりひらりと落ちてくる鱗粉は、黄金蝶のものだ。

 ――幻惑が、破られた。

 私が好き勝手に動ける時間は、ほとんどと言っていいほどに残されていない。

「今、やっている……!」
「早くしねぇと、手遅れになっちまうぞ!」
「急所を、狙え……!」
「うるせぇなあ……っ。片腕だけじゃ、うまく照準を合わせらんねぇんだよ……!」

 銃の扱いに手こずっているガザンと、こちらまで行く手を阻む雑魚敵を倒すのに夢中なフェドクス、魔法を完成させるまで動けないルドルフ。
 全員が身動きの取れない状態は、これが最初で最後だ。
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