攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「オレは絶対、あんたにお礼なんざ言わねぇからな……!」

 ガザンは苛立ちを隠しきれない様子で、両手が不自由なく使えるのをいいことに、私を突き飛ばした。
 こてんと背中から土の上に倒れ込んでいると、ルドルフの怒声が聞こえてくる。

「ガザン! なんてことを言うんだ! エミリエは、君のせいで左腕を一生動かせなくなったんだぞ……!?」
「ええ。構いません。これは、私が好きでやっていることですから」

 ――謝罪なんて、求めていなかった。

 今は言い争う暇があるなら、全員がここから生きて帰れるように努力をするべきだ。

 私は右手と上半身をうまく使い、もぞもぞとイモムシのようにみっともなく暴れ、どうにか立ち上がる。

 そうこうしている間に、すっかり蚊帳の外に置かれていたサキュバスが歓喜の声を上げた。

「わたくしの、美丈夫……! 運命の伴侶……! あなたの左腕が元に戻ったのなら、今度こそ夫として……!」
「誰がてめぇみたいなババアと、結ばれるかよ」
「な……っ!」
「失せろ」

 ――パァン!
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