攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 いつかは神殿に戻らなければならないとしても――。
 今すぐ帰路についたところで、左目と左腕が使い物にならなくなった状態では、これまで以上に酷いを扱いを受ける可能性が高かったからだ。

「何言ってんだよ。オレ達の怪我を庇って、左目と腕が使い物にならなくなったんだぜ? 魔王を討伐したパーティの一員だって勲章を引っ提げていかなきゃ、こいつの扱いは改善できないぜ?」
「黙れ」
「あんただけ、こいつに庇われてねぇもんな。いろいろ、思うところはあるんだろう。だが――」

 こちらがどうやって幼馴染を宥めようか迷っていたところ、ガザンがフェドクスと険悪な雰囲気になった。
 この2人が喧嘩をするのは珍しいことではないが、いつもと辺境伯の様子が違う。

 ――なんでだろう……?

 こちらの疑問は、即座にガザンの口から解消される。

「オレも、気が変わった」

 その言葉通り、グレーの瞳から憎悪が消え去ったのだ。
 驚くほど透き通った視線をこちらに向けたガザンは、フェドクスとよく似た執着心のような感情を覗かせると、幼馴染から強引に私を奪い取った。
< 92 / 191 >

この作品をシェア

pagetop