攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「魔王を討伐するまで、エミリエはオレたちのもんだ。誰にも渡せねぇし、傷つけさせねぇ」

 私を敵視していたはずのガザンが口にした宣戦布告は、仲間たちに激震を与えるのに充分だった。
 誰もが絶句をする中、まるで憑き物が落ちたかのような表情を浮かべた辺境伯が、こちらへ促す。

「とりあえず、帰ろうぜ」

 こんなふうにガザンが私に笑いかけるなんて、初めてだ。

 殿下は驚き、フェドクスは露骨に嫌そうな顔をし、私はなんとも言えない気持ちでいっぱいになった。

 てっきり――。
 殿下と同じように、取り乱すとばかり考えていたからだ。

 もしかすると、殿下の前では弱みを見せたくないのかもしれない。

「そうですね」

 サキュバスをすでに討伐し終えた以上、いつまでもこんなところに滞在し続ける気にもならない。
 私はガザンの意見に同意し、宿屋へ戻ることにした。

「なら、僕が……」
「エミリエに触れていいのは、俺だけだ」

 ここで問題になるのは、誰が自分を宿屋まで運ぶかという話だ。

 ルドルフとフェドクスがバチバチと、火花を散らす。
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