転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
20 騎士たちの考察
理央が幽閉されている塔の階下の一間に、ジークと副官ルキウス、そしてレオの三人が顔を揃えていた。
「この世界に来てから、ってあっさり言ってましたね」
ぽつりと漏らしたのはレオだった。
その対面に座るルキウスは、眼鏡の奥から冷静な視線を投げる。
「報告をまとめました。例の信託の儀とされる記録、および過去に聖女として記録された人物に関するものです。そして当代聖女に対して行われてきた信託の儀に関しても」
「ご苦労」
「まず、前提として信託の儀は上級神官すら詳細を知らぬ例が多い。だが――記録の断片から、異界から魂のみを召喚するものであることは、ほぼ確定と見ていいでしょう。厳密には、器はリオという少女。中に宿る魂は別の存在。それらを合わせて聖女リオ・アリミヌエが構成されているという事ですね」
ルキウスの口調は淡々としている。
「理論的には転生体のような存在が成立している可能性が高いと考えます」
「……魂だけ、か。陛下には駆け引きは通用しない。そのまま報告するしかないな」
ジークは無言で腕を組み、思考の海に沈む。
「……次の議題ですが、収穫祭で起きた光の奇跡についてです。我々で分析を進めています。現象の中心は、祈りの詠唱と所作の最中、聖女殿を中心に粒子状の光が発生し、上昇・消失。観測できた範囲では物理的な影響は皆無、だが民衆の目には神秘として映ったと思われます。個人的な意見として申し上げると、確かに神秘的で荘厳な光景でした。忘れたくても忘れられない、あれは。世に与えた影響は計り知れません。神官たちの間でも、聖女殿の正当性を認める声が増えています」
「つまり、教会上層部。枢機卿および教皇、そして親教会派のムールブルグ侯爵は焦っているだろう」
「……内密ですが、幽閉の継続に反対する神官も出始めました。信仰が、神殿から個に向かいつつあります」
ジークは深く息をついた。
「予測以上の事態を引き起こしてくれたな」
彼の視線の先には、窓の外。
夕日が沈む街の上空に、微かに光が残っていた。
「だが、そういう時代なのかもしれん」
その独白に、ルキウスは黙って頷いた。
「この世界に来てから、ってあっさり言ってましたね」
ぽつりと漏らしたのはレオだった。
その対面に座るルキウスは、眼鏡の奥から冷静な視線を投げる。
「報告をまとめました。例の信託の儀とされる記録、および過去に聖女として記録された人物に関するものです。そして当代聖女に対して行われてきた信託の儀に関しても」
「ご苦労」
「まず、前提として信託の儀は上級神官すら詳細を知らぬ例が多い。だが――記録の断片から、異界から魂のみを召喚するものであることは、ほぼ確定と見ていいでしょう。厳密には、器はリオという少女。中に宿る魂は別の存在。それらを合わせて聖女リオ・アリミヌエが構成されているという事ですね」
ルキウスの口調は淡々としている。
「理論的には転生体のような存在が成立している可能性が高いと考えます」
「……魂だけ、か。陛下には駆け引きは通用しない。そのまま報告するしかないな」
ジークは無言で腕を組み、思考の海に沈む。
「……次の議題ですが、収穫祭で起きた光の奇跡についてです。我々で分析を進めています。現象の中心は、祈りの詠唱と所作の最中、聖女殿を中心に粒子状の光が発生し、上昇・消失。観測できた範囲では物理的な影響は皆無、だが民衆の目には神秘として映ったと思われます。個人的な意見として申し上げると、確かに神秘的で荘厳な光景でした。忘れたくても忘れられない、あれは。世に与えた影響は計り知れません。神官たちの間でも、聖女殿の正当性を認める声が増えています」
「つまり、教会上層部。枢機卿および教皇、そして親教会派のムールブルグ侯爵は焦っているだろう」
「……内密ですが、幽閉の継続に反対する神官も出始めました。信仰が、神殿から個に向かいつつあります」
ジークは深く息をついた。
「予測以上の事態を引き起こしてくれたな」
彼の視線の先には、窓の外。
夕日が沈む街の上空に、微かに光が残っていた。
「だが、そういう時代なのかもしれん」
その独白に、ルキウスは黙って頷いた。