転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
神託の儀――それは、異界より魂のみを呼び寄せ、肉体という器に封じ込める禁忌の魔術である。
成功率は極めて低く、直近の正式な記録では聖キヨイのみが成功例とされていた。
二つの近しい魂を混ぜあうことによって、力の上限値を高めるのだ。
もし、その本質と危険性が白日の下に晒されれば、教会の威信は根底から覆る。
「――我らが手を下す前に、誰かが動くかもしれませんな」
カティスの言葉に、他の枢機卿たちが目を見交わした。
「王家か?」
「王家ならば何とでもなりましょう。幸いにして、都合の良い駒はこちらの手元にある」
その場にいる誰もが、聖教会の独裁者である『教皇』の名を直接口にはしない。
彼が右に倣えといえば、右。
それは絶対であり揺るがないのだ。
神の代行者にして、聖教会の最高権威。
そして彼は、フォリフォンヌ王国の未来の国母となるべきアリシアの生家、ムールブルク侯爵家と裏で繋がっている。
ある者は、ここに秘した力を己の為に揮わせたいと目論み、またある者は民衆に還元すべきだと思っていた。
だが、聖なる裁きが行われれば、処刑されることは、リオという名の少女をこの聖教会に預かった日以前から既に決まっている事なのだ。
彼女を隠せば、あるいは見逃せば、いずれも教皇への背信行為と看做されるだろう。
自らの立場を危うくさせる存在となった『異物の聖女』について、彼らは次なる排除の手を思考せざるをえなかった。