転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
しかも自分と同じ年頃の娘が、自由を奪われ、意思を奪われ、置物のように、死なない程度に扱われている。
末端とは云え貴族の娘である自分は、貴族的役割とは斯くあるべきと理解しなければいけないところなのかもしれないが、ひたすらに、裁定の日が来るまで、生かされているだけの存在が目の前に在るのは、彼女にとってあまり健全とはいえない状況だった。
一日も早くこの聖教会でのお勤めが終われば良いと願っていた。
だが、今は違う。
ようやく意思を示すことを選択したのか、聖女リオ・アリミヌエの瞳は煌めいている。
否、闘志に燃えているように見える。
「あのね……このところ、少し歩くようになったでしょ……だから……」
聖女は自分の腹に両手を組んで押し付ける。
ぐう、と可愛らしい音がした。
「おなかが、直ぐにすいちゃうんだけど、出来れば昼のお食事増やして欲しくて。お肉とお魚がだめなら、お豆とかキノコとかナッツとか、卵とか。あと間食も欲しいかも……これって贅沢? エイラ怒るかな」
年嵩の侍女をひっつめ髪を思い浮かべ、理央はなるべく同情をひくような顔をして眉尻を下げる。
「リオ様はもっと食べても大丈夫だと思いますよ! あ、私さっき厨房で形が崩れちゃたっていうマフィン貰ったんですけど、これでも良いですか? お茶淹れますね」
ガチャガチャと少々音をたて、エイラはティーワゴンを理央の座っている窓辺まで運んできた。
仕事の出来る侍女だ。