転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!


 だがその翌日。
 教会の目論見を打ち砕くような事態が発生する。

 祈祷受付の前には、かつてないほどの民が列をなしていた。
 人々は口々に聖女の奇跡を語り、その力を求めて押し寄せていたのだ。

「聖女殿はどうされたのですか!」

「聖女さまの祈りの歌で、うちの息子の熱が下がったんだ!」

 民衆の声は次第に怒号と化し、門前に殺到する。
 もはや一拠点でのクレーム処理では済まないその暴動寸前の事態は、当然、王宮にも伝わった。

 そして老王フレドリクは、ついに決断を下す。
 民意を盾に、教会側の動きを制御する良い機会でもあった。
 どこまでも、あの子を犠牲にした王である己の冷徹な行動を悔いることはない。
 ただ、一人の人間――祖父としては、申し訳なく思う。

「真の聖女に対し、我らがその保護を担うのも当然であろう。――近衛騎士団第二隊を、聖教会に常駐させよ」

 王命は、王宮内に衝撃を与えた。
 近衛第二隊は、王族の身辺警護を主とする精鋭中の精鋭だ。
 それを教会に常駐させるということは、王家が『武力』をもって聖女を自らの権威下に置こうとする、明確な宣戦布告に他ならないからだ。

「……というわけで、我々第二隊は、本日をもって聖教会への『完全出向』および『常駐』となりました」

 王の御前を辞した回廊で、ルキウスが眼鏡を押し上げながらジークに告げる。

「聖女殿の幽閉部屋の警備権限も、我々が公式に接収します」

「ああ。教会側が身動きを取る前に、布陣を固めるぞ」

 ジークの瞳には、かつてないほどの鋭い光が宿っていた。
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