転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
「……貴様ら近衛がここまで動くとはな。聖女を守るためか? それとも、王命か?」
「俺自身の選択だ」
ジークの言葉に、刺客の目が細くなった。
だが、次の瞬間、爆薬のような閃光が辺りを包む。
ジークの視界が煙幕によって遮られ、刺客はそのまま夜の帳に紛れて姿を消した。
完全に逃げ切られたとは、思わない。
致命傷こそは負わせられなかったが、刃の先に血飛沫の滲む布辺が絡まっている。
「ルキウス」
戦闘の現場に辿り着いた副官に、ジークは剣の切っ先を向けた。
ルキウスがすっと目を細めた。
「証拠として保全しておけ。使えるかは判らんがな」
命令に頷いた副官が、切っ先に絡みついていた布辺をゆっくりと広げていった。
それには、とある刺繍の一部が残されていた。
「……これは、ムールブルク家が使う印の一つですね」
「かの老公がこのような浅慮を起こすとは考え難い。そもそも聖女を暗殺して何になる。聖なる裁きは間近だというのに」
「しかも、随分古い型の紋様です」
「つまり……この襲撃は、古い型の印を今もまだ有している存在。ムールブルク侯爵家から外に出た存在、ということになる」
「それって、王太子妃から送り込まれたってことっすか」
不意に割り込んだあっさりとした声に、ジークは呆れたような表情を浮かべ、ルキウスはレオの額を剣の柄で小突いた。