転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!


「ごめん、今更なんだけど。私の中で『聖女の力』の仕様書(スペック)が確定してないの。私の能力って結局なんなの?」

 王宮地下にある監察局詰所。
 そこは王家直属の精鋭たちが秘密裏に動く情報の中枢だった。
 かつて使用されていた地下水路を辿り、この場所に辿り着いたのは、明け方近く。

(木は森に隠せって言うけど、敵の本丸である王宮の地下にアジトがあるって、大胆すぎない?)

 そもそも監察官は『王による勅命』で任務にあたっているのだ。
 理央にとっては、ブラックリスト上位に存在する『大本営』の足元に居るという事実は、複雑な気持ちにさせる。
 王家もまた、自分を使い捨てるつもりでいるのだから。

 そして、近衛騎士第二隊の長ジーク・オベールレヒト、副官のルキウス、部下のレオ。
 監察官を兼任している彼らは、本当に自分の『共犯者』たるものなのだろうか。
 とはいえ、夜中走り回っていたのだから疲労感がとてつもない。
 気を抜くと意識を失ってしまいそうだ。

 理央の一言に、詰所内の執務室は一瞬、静寂に包まれた。

「今更っすよ」

 レオが苦笑混じりに突っ込む。

「今さらって……だって、なんか光るし、ふわーってなるだけの時もあるし、なんかこう……ビームってわかる? 光線みたいなので塔の壁壊したじゃん、私の力」

「聖女様の力は……」

 ルキウスが思案するように、手元の記録書に目を落とす。

「記録によれば、奇跡の力、神秘、神の御業には幾種もあり、いずれも通常の魔術では不可能な現象とされています。聖キヨイは『呪いの解除』。他の記録の中には『治癒』や『生成』なども記載が有りますが、詳細は不明です。兎も角、魔術では不可能な現象が、神の力のようです」

「うーん……つまり? あのふわふわの光は魔術では不可能?」

「ふわふわはアレじゃないっすか? 花咲かせてたし、そういうの。魔術で植物の成長促進ってできますっけ?」

「そもそも花壇に植えたのって野草の種じゃないから、促進ではないんじゃない?」

「促進にしては、速度が異常すぎますね。魔導院が採取した野草を調査しているようですが、通常の野草とは違う物に変質していると聞きましたよ」

「んじゃ、なんだろう……生成? でも、新種作るのって魔術使わなくても地道な品種改良で出来そうじゃない」

「確かに」

「『破壊』だ」

 ジークが椅子に寄りかかりつつ、真顔で言い放つ。
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