転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
 夕刻、理央は信託の儀が執り行われるという、聖堂の奥深くへと連れて行かれた。

 専属監視兼護衛の任に就いたばかりの筈のジークの姿は、そこにはない。
 どうやら王政側から遣わされてきた彼は、教会の内部で行われるこの種の儀式には立ち会うことが許されないらしい。

 専属の意味ある……?

「何か思い出されましたか」

 問いかけたのは、処刑を通告したカティスだった。
 その表情は相変わらず腹の読めないものだ。

「思い出した、とは」

「近頃の聖女さまは、以前と違って溌溂としておいでですな。まるで中身が入れ替わったかのように」

 信託の儀とは、詮議の場なのだろうか。
 さながらいつか映画で見た法廷のような光景だ。

 理央は、その空間の中央にて、簡素な椅子に座らせられている。
 
 正面には高位の神官であろう者達が、一段上に設けられている席に付き、背後には劇場のように階段式の座席が並び、傍聴席のような場所には、教会の関係者らしき者たちの姿が見える。

 神官たちの言葉には、理央の変貌に対する警戒と、その真意を探ろうとする意図が滲んでいた。彼らは、理央が「何か」を思い出した場合、それを王政側に知られることを何よりも恐れている。

 ――聖女の覚醒は、教会の支配体制を揺るがしかねない、秘匿すべき情報。

「さあ……どうなんでしょうか」
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