転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!

 理央の言葉に、高位の神官たちがざわめいた。
 彼らは、感情を持たない人形として扱ってきた聖女が、突如として人間的な感情と意志を露わにしたことに戸惑いを隠せない。

 しかし、彼女がリオ・アリミヌエとしての記憶を取り戻したわけではない、という理央の言葉は、彼らにとって都合の良い解釈を許すものだった。

「――裁定の結果は元より決まっておる。いずれにせよ、残り短い生だ。聖教会の威光を今まで以上に高める事に励むがよかろう」  

 会議の席でそう告げたのは、最高位に在る教皇シリィーゼだった。  
 太い腹を揺らすカティスが、理央の額に大きな錫杖を押し付ける。  
 
 刹那、ほんのわずか淡い光が弾けるように立ち上がり雲散したように見えて、理央は思わず瞠目したのだが、理央以外の存在には見えなかったようだ。  

 陰鬱とした沈黙と注目をただ一身に受けているだけである。  

 つまらなそうな顔で「未だ兆しなし」と短く呟いたカティスは、理央にぴたりと視線をあてて目を細めた。  

 正直いってあまり愉快な笑みでは無い。  
 背筋を這いあがる不快感に、理央は掌をぐっと握りこんだ。

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