転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
聖女の間に帰ってきたのは深夜を大きく過ぎていた。
理央の思考は、夜の闇と同じくらいに深く沈んでいた。
疲労で、頭の芯がジンジンと痛む。
部屋の主が戻ったことを認めたエイラは、淡々と理央の就寝準備を進めていた。
教会側と王政側。
(味方に付けるとしたら、どちらがマシなんだろう?)
視線を転じると、セイラが睡魔と戦いながら欠伸を嚙み殺している姿が見える。
十七歳の少女には夜更かしは厳しいだろう。
かくいう自分も所謂アラサーという歳をいくつか越した頃から、徹夜の出来ない体になっていたのを思い出す。
「二人とも、さがっていいわ、ありがとうおやすみなさい」
エイラとセイラを下がらせた後、理央はベッドに潜り込んだ。
しかし、安心したのも束の間。視界の端に、在るべきではないものが映り込んだ。
「――な……」
叫ばなかった自分を褒めてやりたい。
反射的に布団を頭まで引き上げようとしたが、その場に留まった。
「何でいるの、あなた」
昼間に見た時と変わらぬ、黒銀の軍服に銀色の髪。
氷蒼の瞳が、不愉快そうに細められた。
ジーク・オベールレヒト。
王国近衛の騎士、そして今日から理央の護衛兼監視役となった男は、当然のように部屋の隅に立っていた。