転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
リオ・アリミヌエとは、王室に関係のある存在なのだろうか。
理央が閲覧できる資料を漁った限り、そのような記録は存在していなかった。
「今の聖女殿の状態は――看過できぬと考えておられる方もいる」
ジークの言葉は、理央の頭の中で、点が線に繋がろうとするが、曖昧模糊としていてすっきりはしない。
しかし、自身の置かれた状況が、単なる教会の問題だけではないことを、漠然と感じ取っていた。
「何それ」
あくまで無知を装ったまま呟く。
「妙な真似はするな。聖なる裁きまで……聖女殿を生かすことが俺の任務である事に変わらん」
ジークはそれだけ言うと、壁にもたれかかり、腕を組んだ。
無言の圧力が理央の心を支配する。
「……つかぬ事を聞くけど、朝までいるの?」
「言ったはずだ。職務を全うする、と」
(……いやいやいや、ちょっと待って。この人、まさか本当に一睡もしないで一晩中立ってるつもり!?)
理央の『元社畜』としての労務管理アラートが、ガンガンと脳内で鳴り響く。
(これ絶対労基法違反でしょ。騎士団だっけ? どんだけブラックなのよ……。これじゃ私が処刑される前に、あんたが過労死するわよ!)
だが、氷のように冷たいジークの横顔を見ていると、とても「有給取ったら?」などとアドバイスできる空気ではない。